ヨーク岬半島にかかる雲2019年06月06日 19:57

チラゴー遠征より戻ってきました。
今回の遠征は残念ながら天気に恵まれず、実質成果ゼロとなりました。
気象学的な事はわからないのですが、オーストラリア北東部は、5月頃より乾季となり、雨量は少なくなって、良い天気の日が多くなるのですが、我々が行っている間は、一時的な晴れ間があるけれど、安定した快晴の日は一日も無かったです。
初日はほぼベタ曇りで、2回ほど撮影地まで行くも、晴れる気配を感じる事ができず。断念、同行者の放置タイムラプスから、わずかな時間のみ晴れたとの事です。

2日目は、バランスロックと銅山跡の見学に行きました。バランスロックは傾いており、崩れそうで怖いです。写真にするとその大きさがわかります。
この後は、夕方から雨となり、どうにもなりません。

3日目は、朝は青空が広がりました。少し期待を持たせてくれました。
その後雲量が増してきました。夕方はベタ曇りでしたが、何もせずにロッジでいるのはつらいので、撮影地で機材を展開しました。午前2時まで待ったのですが晴れる気配がありません。仕方ないねと同行のNさんと撤収しました。撤収を終えて空をみると雲が少なくなり、満天の天の川が天頂を横切っています。何とも皮肉な事です。それからもう一度機材を展開して撮影する気力もなく、1時間半ほどの快晴が続きました。これが今回の4夜でもっとも良い天気の時間帯でした。

4日目は、予報は比較的良く、朝から好天となりました。その天気も午後からは雲が増えてきました。夜になっても雲の流れる空は変わりなく、雲の切れ目で撮影できるのは5分が限界でした。安定した晴れの時間帯は来ないまま、時間切れとなってしまいました。

10年来いかれているリーダーのAさんによると、これまでの晴天率80%とはまったく異なる天気との事です。また、エコロッジのスタッフの方もunusualなお天気と評されていました。今年のお天気はエルニーニョと関係しているものなのか、地球的な気候変動によるものか気になるところです。
とにかく、今年のチラゴーは涼しかったです。暑いと感じた日が一日もありませんでした。日本のほうがずっと暑いです。

遠征中のひまわりの正午の画像のGIF画像です。

なんともはや、この雲の流れに悩まされた4 nightsとなりました。

とりあえず、今回の遠征で得られたものは、肉眼で夏の銀河をしっかりと見たことです。短時間でしたが、雲の切れた時間に見えた銀河とそれと交錯する暗黒帯のコントラストは、やはり南天でしか見えないものと再確認しました。
来年の雪辱を誓いました。



みなみのかんむり座に広がる星雲2019年05月27日 20:34

なかなか4月に撮影した画像を処理できていません。画像データがイマイチであったりすると、放置されがちです。今回の画像も画面の左右で、少し星像に差があり、しばらく処理をせずに放置したものです。重いレンズと重いカメラ(Seo Coolded 6D)の組み合わせで、スケアリングエラーが出たようです。

画像データ:撮影データ:APO Sonnar 135mm/F2 絞りF2.8
Canon EOS6D(SEO SP4 COOLED 6D) Filterなし AutoWB ISO1600 2.5min x24 (total 60min)
GP-D赤道儀(MTS-3仕様) M-GEN Kowa 75mmでガイド
RAP2でダーク&FLAT→CS6でRAW現像後TIFF→SI8でコンポジット→CS6で強調
外気温15℃くらい、7.5Vで弱冷却追加

構図がどうかと思っていました。もう少し全体に北にもってきたほうが良さそうです。

先週末は北海道で猛暑となりました。西日本も先週は、PM2.5にまみれた空ですが、お天気は良かったです。
とはいいながら、仕事が忙しくて、まったく星をみることができませんでした。働き方改革をしたはずですが、なかなか思うようにはいきません。そんななか、今週末から今年2度目の豪州遠征の予定です。なんとか、やらねばならないことを済ませて、行く準備をしています。

ここのところ、現地のお天気予報がイマイチ感です。日本のお天気もエルニーニョ現象で影響を受けているようですが、北東オーストラリアも影響があるのかもしれません。なんとか晴れた日があってほしいものです。

Waddi Farm遠征記 22019年05月13日 19:39

Waddi Farmについては、K-ASTECさんのブログ天リフの記事にも詳細されています。

今回で南天遠征も3ヶ所目となります。
東のほうのチラゴーやBallandeanのTwinstar Guesthouseなどと、アクセス、空の暗さ、滞在時の快適さ、費用なんかの違いについて述べてみます。

Waddi Bush Resort
Waddi Farmは、パースを拠点として、194km北にあります。南緯30度くらいで、チラゴーなんかに比べると、イータカリーナや南十字の高度は高くなります。気温は今回の遠征では昼間は最高32度、夜間は12度くらいまで下がりました。魚眼で撮影すると、南に2ケ所ほどかぶってくる町灯りがありますが、その他は大変暗いです。滞在する部屋は、部屋にもよりますが、今回利用した7号室はダブルベッドの寝室と居間のレイアウトで、居間のソファがエクストラベッドになり、初日にはベッドメイキングをしてもらいました。比較的こぎれいな部屋で、冷蔵庫、湯沸かし、電熱器、電子レンジが備え付けてあります。風呂はないけれど、シャワーができます。いわゆる滞在型のリゾートでした。Non Smokerであった、愛知県のK氏と同室となりました。同室といっても、2部屋あって、気兼ねなく使う事ができました。また、天文仲間ということで、通じあうことが多いのか、私の様なとっつきの悪いものとも、仲良くさせていただきありがたかったです。ここのオーナーは基本的に不在で、初日のみ夕食時にお会いできました。食事は、レストランと厨房のあるゲストハウスで、自炊となります。ガスと電気があるのですが、少し便りない状況です。今回食事については活躍していただいたのが、H氏でした。私は、料理はからっきしダメで、鍋を洗うくらいしかできませんでした。途中は、観光組が不在となり、私を含めて男5名での合宿生活となりました。概ね快適でしたが、2度断水になりました。原因は不明ですが、Waddi Farmに常時住んでいる人が戻ってきて、なんらかのことをしてもらうと断水は解除されました。
食材は、近くのMooraという町で買い出しが必要です。近くといっても、70km程度あり、1時間以上かかります。ここには、レストランやスーパーなんかがあります。ということで、快適さという点、食事の点では、少し問題が残りますが、なんとかなるものです。

空の良さに加えて、滞在している部屋と撮影場所は100mくらいしか離れていないので、撮影開始してしばらく放置して、部屋で仮眠して、時間がきたら撮影場所に戻る事ができます。また、240VのAC電源が利用できるので、モバイルバッテリーを使わずとも、望遠鏡の駆動、カメラの電源、PCの電源等心配なく使えました。今回は、GPD(MTS-3仕様)を借用できたので、快適な自動導入、オートガイドとなりました。撮影環境は大変素晴らしいです。
費用は、いわゆるツアーとは違うので、航空機のチケット、レンタカー代、滞在費、食材なんかを実費で賄う事になり、お安くなりました。

Ballandean TwinStar Gusethouse
Ballandeanは、ブリスベンを拠点として、約250km内陸に入ったところにあります。車で3時間かかり、距離的には最も遠いと感じました。ブリスベンへは、色々な方法で行くことが可能で、昨年はJAL便を利用して、大変快適なのと23kgx2+機内持ち込み10kgと制限が最もゆるいフライトでした。ブリスベン空港から国道15線を経てBallandeanへのを抜けるのは、一番ややこしく感じました。緯度は、今回のWaddiとほぼ同じ南緯30度くらいですが、内陸のためか、5月に行ったのですが、事前情報から明け方は5度以下にまで下がるとの事で、防寒対策をしっかりして行きました。
滞在先のツインスターゲストハウスは、日本人夫妻の経営されている小さなペンションで、部屋数も少なく、5.6人での滞在になるかと思います。食事は夕食、朝食(夜食)のオプションをつけてもらいましたが、お料理上手な奥さんの夕食を懐かしい岡持ちに入れて、部屋まで持ってきてくれて、自由な時間に食べることができました。部屋は、大変綺麗で快適ですし、Wifiも使えます。
敷地内に観測スペースがあり、街中にあるのですが、街灯が入らないように囲っています。広く撮影するには難があるますが、空自体は暗いです。近くを15号線が通っており、夜間大型トラックが疾走する環境でした。もちろん電源が完備しており、40cmのドブソニアンを借用して、眼視も楽しめました。滞在費用は他と比べても、高くはありません。空の広さ以外は、大変快適な撮影ができました。

Chillagoe Observarory & Ecolodge
チラゴーは、ケアンズを拠点として204km(約3時間弱)の内陸にあります。南緯17度のため亜熱帯になり、5月の気温は昼間は30度くらいでしたが明け方には15度以下にまで気温が下がりました。昨年から、近くに明るい光源を出すところができて、光害を感じたとの事です。
部屋は広く、夕食は頼むとその時間に肉料理の夕食が提供されます(25A$程度)。コーヒーや牛乳は、無料で自由に飲めます。部屋は広く快適です。Wifiは、食事をするところで利用できますが、スピードはかなり遅かったです。途中の町で、滞在中の朝食となるパンやバナナ、おやつ類、電池などを調達しておきます。チラゴーの中には、チラゴーバーガーなんかを食べることのできる小さなレストランや雑貨店があります。
撮影地は、ロッジから少し離れた場所まで移動して撮影となります。毎晩、移動、セッティング、撮影後の撤収が必要です。その不便さはありますが、2年前は大変暗い空でした。撮影地の近くでは夜間はワラビーが出没しました。天文ガイドにも紹介されて、大変ポピュラーな撮影地になりました。ツアーでなく、自分たちで、Jet Starのチケット予約、レンタカーの手配をすれば、安価に行く事ができます。


Waddi Farm遠征記 12019年05月12日 11:55

4月6日~4月13日の8日間 西オーストラリアのWaddi Farmへ遠征して、1ヶ月が過ぎてしまいました。
記憶が薄れないうちに、今回の遠征記を書きます。覚えのような記録で、少し冗長になりますので、お暇な方だけお読みください。

Waddi Farmの遠征は、四国星空研究会のY氏よりのお誘いで決まりました。この遠征は、佐賀天文協会のS氏とK-ASTECのK氏とで、企画された遠征です。福岡発着でシンガポール航空利用で、シンガポール経由でパースまで飛んで、そこからレンタカーで190km北のWaddi Farm(Waddi Bush Resort)へ行き、そこで合宿生活のような遠征をするというものです。

我々は四国在住なので、4月6日の朝の集合に行くために、八幡浜-臼杵のフェリーで九州にわたり、高速道路で福岡空港に行くことにしました。特に渋滞もなく、スムーズに空港にまで行くことができました。フェリーの中での仮眠やSAでの休憩、到着後の仮眠なので、これから福岡~Waddiまでの一日に備えました。

午前8時過ぎに、福岡空港の国際線ターミナルで、全員集合となりました。チェックイン時の荷物の計測は29.2kgで無事にパス。機内持ち込みは、PCバッグは除外して7kgまででしたが、こちらはノーチェックで、10kg以上の荷物を軽そうに見せてチェックインされた方も多かったような。今回は総勢14名で、観光組もおられた。シンガポールまで6時間で、Transitで4時間近く待った。現地時刻7時過ぎにパース便が出発。夜中に到着する便であったが、ほぼ満席であった。たいした揺れではなかったが、機内サービスがturbulenceのため、できないとアナウンスがあり。水も夜食もないフライトとなってします。夕食はこの便の機内食で思っていたので、夕食なしで我慢となってしまった。到着したのは、日付が変わる直前の23:55分であった。そこから、入国はデジタル入国でパスポートを挿入、顔写真で本人を認証するという感じで、きわめて簡単であった。

Baggage Claimで荷物を無事受け取ることができ、一安心。事前に済ませて書いてあった関税申告書などを提出して、無事にゲートを通ることができ、みんな(14名)無事にパースへ上陸。出てすぐのところにレンタカーのカウンターがあり、予約していた2台のRVR、KIAのミニバンで移動となる。荷物が多かったので、KIAのミニバンの座席スペースへ荷物を積み込んだため、その分RVRには5人乗ることになり、後席中央はかなりつらい状況であった。

3台で深夜の移動となった。シンガポール便で夕食を食べることのできなかったため、皆ひもじい状態であった。パース郊外の深夜のGSで水を入手、マクドナルドでハンバーグ、コーラ、ポテトで一息つくことができた。その後、ピナクルで夜明けを待とうということで、海沿いの道を北上。ダイレクトに行くなら1号線北上となる。

天リフのY氏がハンドルを握ってくれたが、みんな眠い。時々、みんなの言葉が少なくなるので、ドライバーに声をかけるのが仕事と感じる。こちらの一般道は郊外では100km/hになるが、海沿いの道はそれほど広くなく、少しフラフラとし、不安であった。Parking Areaが目に入り、どうか前の車がそこに入ってと念じたところ、願いが通じたのか入ってくれた。見上げた空には、輝く天の川で南天に来たと感動してしまう。そこで、トイレ休憩やドライバー交代をして、少し一息をすることができた。薄明の開始する5時すぎにピナクルへ到着した。昔の海底が隆起して、硬い部分がたくさんのモニュメントの様に残っている。日本で見ることのできない景色であり、星景ポイントのようであるが、疲れもあり、けっこうきつい朝となった。
私の古めのiPhone 5Sで撮影したので、ノイジーですが、雰囲気はわかるかと思います。


日本の自宅を出てから、1日と6時間である。昨日から、長い一日となってしまった。ピナクルの後で、Waddi Bush Resortへ1時間半ほどで到着した。平坦な風景と、点在するユーカリや、Bushや牧草の続くオーストラリアらしい広々とした風景が広がる。空は、あくまで青く澄み渡っている。


写真はWaddi Farmの入口で、そこからダートを数Km行ったところに滞在する場所がある。なんともスケール感が違う。

その2では、Waddiの状況について書く予定です。


Vela SNR再処理2019年05月07日 12:24

先日アップした画像を再処理しました。
今回は、HEUIB-IIで撮影した画像をブレンドしてみました。どう利用するかは、色々な方法があるとおもいのですが、0-IIIのフィラメント構造と、H-alphaの赤い星雲のバランスを見ながら、星の色なんかを残せないかと思い処理しました。
今回は、Duo-Narrowbandの画像に対して、HEUIB-IIの画像を比較明で重ねて、不透明度を70%程度にしました。単純に合成すると、O-IIIの部分が淡くなってしまいました。
撮影データ:BORG77EDII + F4DG (fl=330mm F4.3)
Canon EOS6D(SEO SP4 COOLED 6D) AutoWB 
STC Duo-narro band filter装着 ISO2000 8min x19 (total 2h32min)
HEUIB-II filter ISO1600 5min x18 (total 90min)
GP-D赤道儀(MTS-3仕様) M-GEN Kowa 75mmでガイド
RAP2でダーク&FLAT→CS6でRAW現像後TIFF→SI8でコンポジット→CS6で強調
外気温15℃くらい、7.5Vで弱冷却追加