カメレオン座暗黒星雲その22019年05月01日 16:07

前回アップした領域の東の領域の暗黒星雲と分子雲です。

マイナー領域ですが、暗黒星雲マニアなので、撮ってみました。前回アップした領域の東側でDark Doodadの南にあります。暗黒星雲、分子雲、反射星雲の明確な区別は学問的になってしまい、私のブログでは明確に区別をつけていません。今回撮影した領域は、カメレオン座暗黒星雲IIおよびIIIの領域で、星生成領域の様です。
撮影した感じは、北天のおうし座分子雲に似た感じです。

海外の作例は、冷却CCDを使い十分な撮影時間をかけたものがありますが、私の今回のものは5分x16枚の撮影となり、私の画像処理技術ではこんなところというところでとどめています。もう少し濃く撮影するには、今回の3倍以上の露光が必要かもしれません。

撮影データ:BORG77EDII + F4DG (fl=330mm F4.3) HEUIB-II装着
Canon EOS6D(SEO SP4 COOLED 6D) HEUIB-II使用 AutoWB ISO1600 5min x16 (total 80min)
GP-D赤道儀(MTS-3仕様) M-GEN Kowa 75mmでガイド
RAP2でダーク&FLAT→CS6でRAW現像後TIFF→SI8でコンポジット→CS6で強調
外気温15℃くらい、7.5Vで弱冷却追加

Vela SNR再処理2019年05月07日 12:24

先日アップした画像を再処理しました。
今回は、HEUIB-IIで撮影した画像をブレンドしてみました。どう利用するかは、色々な方法があるとおもいのですが、0-IIIのフィラメント構造と、H-alphaの赤い星雲のバランスを見ながら、星の色なんかを残せないかと思い処理しました。
今回は、Duo-Narrowbandの画像に対して、HEUIB-IIの画像を比較明で重ねて、不透明度を70%程度にしました。単純に合成すると、O-IIIの部分が淡くなってしまいました。
撮影データ:BORG77EDII + F4DG (fl=330mm F4.3)
Canon EOS6D(SEO SP4 COOLED 6D) AutoWB 
STC Duo-narro band filter装着 ISO2000 8min x19 (total 2h32min)
HEUIB-II filter ISO1600 5min x18 (total 90min)
GP-D赤道儀(MTS-3仕様) M-GEN Kowa 75mmでガイド
RAP2でダーク&FLAT→CS6でRAW現像後TIFF→SI8でコンポジット→CS6で強調
外気温15℃くらい、7.5Vで弱冷却追加


Sh2-272019年05月09日 20:33

へびつかい座ζ星周囲にある、大きな赤い星雲です。

赤い星雲なので、南天で撮影する意義はあまりないのかもしれませんが、なぜか撮影していました。南天では、高度が高いため、構図をとるのが難しく、南北の軸がずれてしまいました。HEUIB-IIを利用して撮影したのですが、やはり淡いので、先日連休5月3/4日にLPS-V3で撮影したデータを合成して赤い星雲部分を強調しています。

撮影データ:
南天撮影分 Canon EOS6D (HKIR改造) ISO1600 Auto WB
Voigtlander 90mm/F3.5 絞り解放 HEUIB-II使用 4min x21 (total 84min)
K-ASTEC GF-50 ノータッチガイド
撮り増し分 Canon EOS6D (SEO COOLED 6D) ISO2000 Auto WB
Voigtlander 90mm/F3.5 絞り解放 LPS-V3使用 8min x14 (total 112min)
ATLUX赤道儀(AGS-1S改) M-GEN Kowa 75mmでガイド
RAP2でダーク&FLAT→CS6でRAW現像後TIFF→SI8でコンポジット→CS6で強調後南天撮影分(HEUIB-II)を背景に撮り増し分(LPS-V3)を比較明合成(不透明度70%)


Waddi Farm遠征記 12019年05月12日 11:55

4月6日~4月13日の8日間 西オーストラリアのWaddi Farmへ遠征して、1ヶ月が過ぎてしまいました。
記憶が薄れないうちに、今回の遠征記を書きます。覚えのような記録で、少し冗長になりますので、お暇な方だけお読みください。

Waddi Farmの遠征は、四国星空研究会のY氏よりのお誘いで決まりました。この遠征は、佐賀天文協会のS氏とK-ASTECのK氏とで、企画された遠征です。福岡発着でシンガポール航空利用で、シンガポール経由でパースまで飛んで、そこからレンタカーで190km北のWaddi Farm(Waddi Bush Resort)へ行き、そこで合宿生活のような遠征をするというものです。

我々は四国在住なので、4月6日の朝の集合に行くために、八幡浜-臼杵のフェリーで九州にわたり、高速道路で福岡空港に行くことにしました。特に渋滞もなく、スムーズに空港にまで行くことができました。フェリーの中での仮眠やSAでの休憩、到着後の仮眠なので、これから福岡~Waddiまでの一日に備えました。

午前8時過ぎに、福岡空港の国際線ターミナルで、全員集合となりました。チェックイン時の荷物の計測は29.2kgで無事にパス。機内持ち込みは、PCバッグは除外して7kgまででしたが、こちらはノーチェックで、10kg以上の荷物を軽そうに見せてチェックインされた方も多かったような。今回は総勢14名で、観光組もおられた。シンガポールまで6時間で、Transitで4時間近く待った。現地時刻7時過ぎにパース便が出発。夜中に到着する便であったが、ほぼ満席であった。たいした揺れではなかったが、機内サービスがturbulenceのため、できないとアナウンスがあり。水も夜食もないフライトとなってします。夕食はこの便の機内食で思っていたので、夕食なしで我慢となってしまった。到着したのは、日付が変わる直前の23:55分であった。そこから、入国はデジタル入国でパスポートを挿入、顔写真で本人を認証するという感じで、きわめて簡単であった。

Baggage Claimで荷物を無事受け取ることができ、一安心。事前に済ませて書いてあった関税申告書などを提出して、無事にゲートを通ることができ、みんな(14名)無事にパースへ上陸。出てすぐのところにレンタカーのカウンターがあり、予約していた2台のRVR、KIAのミニバンで移動となる。荷物が多かったので、KIAのミニバンの座席スペースへ荷物を積み込んだため、その分RVRには5人乗ることになり、後席中央はかなりつらい状況であった。

3台で深夜の移動となった。シンガポール便で夕食を食べることのできなかったため、皆ひもじい状態であった。パース郊外の深夜のGSで水を入手、マクドナルドでハンバーグ、コーラ、ポテトで一息つくことができた。その後、ピナクルで夜明けを待とうということで、海沿いの道を北上。ダイレクトに行くなら1号線北上となる。

天リフのY氏がハンドルを握ってくれたが、みんな眠い。時々、みんなの言葉が少なくなるので、ドライバーに声をかけるのが仕事と感じる。こちらの一般道は郊外では100km/hになるが、海沿いの道はそれほど広くなく、少しフラフラとし、不安であった。Parking Areaが目に入り、どうか前の車がそこに入ってと念じたところ、願いが通じたのか入ってくれた。見上げた空には、輝く天の川で南天に来たと感動してしまう。そこで、トイレ休憩やドライバー交代をして、少し一息をすることができた。薄明の開始する5時すぎにピナクルへ到着した。昔の海底が隆起して、硬い部分がたくさんのモニュメントの様に残っている。日本で見ることのできない景色であり、星景ポイントのようであるが、疲れもあり、けっこうきつい朝となった。
私の古めのiPhone 5Sで撮影したので、ノイジーですが、雰囲気はわかるかと思います。


日本の自宅を出てから、1日と6時間である。昨日から、長い一日となってしまった。ピナクルの後で、Waddi Bush Resortへ1時間半ほどで到着した。平坦な風景と、点在するユーカリや、Bushや牧草の続くオーストラリアらしい広々とした風景が広がる。空は、あくまで青く澄み渡っている。


写真はWaddi Farmの入口で、そこからダートを数Km行ったところに滞在する場所がある。なんともスケール感が違う。

その2では、Waddiの状況について書く予定です。


Waddi Farm遠征記 22019年05月13日 19:39

Waddi Farmについては、K-ASTECさんのブログ天リフの記事にも詳細されています。

今回で南天遠征も3ヶ所目となります。
東のほうのチラゴーやBallandeanのTwinstar Guesthouseなどと、アクセス、空の暗さ、滞在時の快適さ、費用なんかの違いについて述べてみます。

Waddi Bush Resort
Waddi Farmは、パースを拠点として、194km北にあります。南緯30度くらいで、チラゴーなんかに比べると、イータカリーナや南十字の高度は高くなります。気温は今回の遠征では昼間は最高32度、夜間は12度くらいまで下がりました。魚眼で撮影すると、南に2ケ所ほどかぶってくる町灯りがありますが、その他は大変暗いです。滞在する部屋は、部屋にもよりますが、今回利用した7号室はダブルベッドの寝室と居間のレイアウトで、居間のソファがエクストラベッドになり、初日にはベッドメイキングをしてもらいました。比較的こぎれいな部屋で、冷蔵庫、湯沸かし、電熱器、電子レンジが備え付けてあります。風呂はないけれど、シャワーができます。いわゆる滞在型のリゾートでした。Non Smokerであった、愛知県のK氏と同室となりました。同室といっても、2部屋あって、気兼ねなく使う事ができました。また、天文仲間ということで、通じあうことが多いのか、私の様なとっつきの悪いものとも、仲良くさせていただきありがたかったです。ここのオーナーは基本的に不在で、初日のみ夕食時にお会いできました。食事は、レストランと厨房のあるゲストハウスで、自炊となります。ガスと電気があるのですが、少し便りない状況です。今回食事については活躍していただいたのが、H氏でした。私は、料理はからっきしダメで、鍋を洗うくらいしかできませんでした。途中は、観光組が不在となり、私を含めて男5名での合宿生活となりました。概ね快適でしたが、2度断水になりました。原因は不明ですが、Waddi Farmに常時住んでいる人が戻ってきて、なんらかのことをしてもらうと断水は解除されました。
食材は、近くのMooraという町で買い出しが必要です。近くといっても、70km程度あり、1時間以上かかります。ここには、レストランやスーパーなんかがあります。ということで、快適さという点、食事の点では、少し問題が残りますが、なんとかなるものです。

空の良さに加えて、滞在している部屋と撮影場所は100mくらいしか離れていないので、撮影開始してしばらく放置して、部屋で仮眠して、時間がきたら撮影場所に戻る事ができます。また、240VのAC電源が利用できるので、モバイルバッテリーを使わずとも、望遠鏡の駆動、カメラの電源、PCの電源等心配なく使えました。今回は、GPD(MTS-3仕様)を借用できたので、快適な自動導入、オートガイドとなりました。撮影環境は大変素晴らしいです。
費用は、いわゆるツアーとは違うので、航空機のチケット、レンタカー代、滞在費、食材なんかを実費で賄う事になり、お安くなりました。

Ballandean TwinStar Gusethouse
Ballandeanは、ブリスベンを拠点として、約250km内陸に入ったところにあります。車で3時間かかり、距離的には最も遠いと感じました。ブリスベンへは、色々な方法で行くことが可能で、昨年はJAL便を利用して、大変快適なのと23kgx2+機内持ち込み10kgと制限が最もゆるいフライトでした。ブリスベン空港から国道15線を経てBallandeanへのを抜けるのは、一番ややこしく感じました。緯度は、今回のWaddiとほぼ同じ南緯30度くらいですが、内陸のためか、5月に行ったのですが、事前情報から明け方は5度以下にまで下がるとの事で、防寒対策をしっかりして行きました。
滞在先のツインスターゲストハウスは、日本人夫妻の経営されている小さなペンションで、部屋数も少なく、5.6人での滞在になるかと思います。食事は夕食、朝食(夜食)のオプションをつけてもらいましたが、お料理上手な奥さんの夕食を懐かしい岡持ちに入れて、部屋まで持ってきてくれて、自由な時間に食べることができました。部屋は、大変綺麗で快適ですし、Wifiも使えます。
敷地内に観測スペースがあり、街中にあるのですが、街灯が入らないように囲っています。広く撮影するには難があるますが、空自体は暗いです。近くを15号線が通っており、夜間大型トラックが疾走する環境でした。もちろん電源が完備しており、40cmのドブソニアンを借用して、眼視も楽しめました。滞在費用は他と比べても、高くはありません。空の広さ以外は、大変快適な撮影ができました。

Chillagoe Observarory & Ecolodge
チラゴーは、ケアンズを拠点として204km(約3時間弱)の内陸にあります。南緯17度のため亜熱帯になり、5月の気温は昼間は30度くらいでしたが明け方には15度以下にまで気温が下がりました。昨年から、近くに明るい光源を出すところができて、光害を感じたとの事です。
部屋は広く、夕食は頼むとその時間に肉料理の夕食が提供されます(25A$程度)。コーヒーや牛乳は、無料で自由に飲めます。部屋は広く快適です。Wifiは、食事をするところで利用できますが、スピードはかなり遅かったです。途中の町で、滞在中の朝食となるパンやバナナ、おやつ類、電池などを調達しておきます。チラゴーの中には、チラゴーバーガーなんかを食べることのできる小さなレストランや雑貨店があります。
撮影地は、ロッジから少し離れた場所まで移動して撮影となります。毎晩、移動、セッティング、撮影後の撤収が必要です。その不便さはありますが、2年前は大変暗い空でした。撮影地の近くでは夜間はワラビーが出没しました。天文ガイドにも紹介されて、大変ポピュラーな撮影地になりました。ツアーでなく、自分たちで、Jet Starのチケット予約、レンタカーの手配をすれば、安価に行く事ができます。