南天限界 ガム星雲20172017年03月02日 21:55

先日の遠征で撮影したガム星雲の全景です。条件の良い撮影であったので、そこそこ写ってくれました。この写真で最も南端の星はほ座κ星で、南中高度が1度少々です。

撮影データ:Canon EOS60D (Central DS改) ISO1600 LPS-V3 FF使用
Samyang 35mm/F1.4 絞りF3.5 5min x12 (total 60min)
GF-50 ノータッチガイド
RAP2でDARK補正 → CS6でコンポジット→SI7で周辺減光&カブリ補正→CS6で仕上げ

ガム星雲を狙うのに、Samyang 35mm、Canon EF35mm/F1.4LII、Sigma 50mm artなどで考えたのですが、フルサイズの場合V3を使うと後者2つのレンズは、画像劣化がひどくなります。APS-Cでも、EF35mmは相性が悪いようで、従来からのSamyangを使いました。このレンズはフォーカス位置で赤ハロ傾向になるのが少々難点ですが、APS-Cまでなら綺麗な星像となります。

今回1時間の露光時間をとりましたが、大気差のため、水平線近くの星は普通にコンポジットすると伸びてしまい、CS6で丹念にコンポジットする必要がありました。


Vela SNR 20172017年03月08日 20:43

ようやく先月末に撮影したほ座超新星残骸(Vela SNR)を画像処理しました。

デジカメ撮影なので、レムナント構造を描写するのは限界があります。南中の前後の2時間弱が撮影できる時間になります。今回はツイン撮影での画像を合成しました。低空の赤カブリの補正でHEUIB-II, LPS-D1を使っています。LPS-D1でも酸素輝線を透過させるので、レムナント構造の描写には、問題なかろうということで使っています。HEUIB-IIの玄天は、金欠で未だ入手できていません。O-IIIでの撮影は、前回Sh2-308の撮影で、2時間弱では難しいことが分かっていたので、トライしませんでした。

LPS-D1はH-alphaの強調には有利です。全体の色調は、HEUIB-IIが良くなります。今回は1:1のブレンドで合成しています。酸素輝線の強調には、青と緑の画像を利用してマスクを作成しました。この色調については、ナローバンドの様な色調になりませんでした。

撮影データ: 
BORG77EDII+F4DG Twin System (330mm/F4.3)
Canon EOS6D(SEO-SP4)+HEUIB-II ISO1600 6min x18
Canon EOS6D (Starshop新改造)+LPS-D1 ISO1600 6min x18 (total 216min)
GPD赤道儀(AGS-1S改) M-GEN Kowa 75mm Snake modeでディザーガイド
RAP2でFLAT&DARK→CS6でRAW現像後TIFF変換→SI7とCS6でコンポジット後TIFF化 → CS6で2つの画像をコンポジット→CS6で強調処理

低空対象のSNRの酸素輝線をデジカメでカラフルに出すのは、限界を感じました。今年オーストラリアでここをもう一度撮影できるチャンスがあるので、どうなるか試してみるつもりです。

Gum星雲北部パノラマ2017年03月18日 14:21

2015年、2016年、そして今年の2月のデータでパノラマを作成しました。
計画的に撮影したものではないので、パノラマというには少し寂しいのですが、つなげるとわかることもあります。


ここの南中時の状況はこんなかんじです。
当地での南中時で高度は10度少々で、撮影条件は厳しいです。

今年5月末の新月期に、オーストラリア撮影計画を立てています。
どうなるかといえば、薄明終了時点でこんな感じです。
なんと高度40度以上あります。2時間は十分撮影できる高度です。

こんな事を考えて、花粉の舞う夜に、妄想を巡らせています。

南天遠征2ケ月前2017年03月25日 16:00

年度末の週末を迎えました。予定もなく、時間はあるのですが、お天気はイマイチです。というわけで、今週末は2ケ月後に控えた、南天遠征の準備中。

飛行機で運べるバッテリーは、リチウムイオンでは150Wh以内のもの2個までという制限があります。そのため、いくつかのモバイルバッテリーをテストしたのですが、電源対策がむつかしいと感じたD810Aは、今回は持っていかない事にして、6Dを2台使用することにしました。
以下の記事は、すべて自己責任で施行しております。決して、良い子は真似をしないでください。

6Dの電源は、モバイルバッテリーのUSB5V出力を少し高めの7.6Vに昇圧して使用します。何度もタイマーで繰り返し撮影して、エラーの出ないことを確認しました。とりあえず、電池でのバックアップもすることにしました。

さて、南緯17度の彼の地での5月末の夜間の温度は18度前後との事です。当初は冷却は考慮外としました。SEO COOLED 6Dは、本来は12V(2.5A)の使用で、30Whです。モバイルバッテリーでの使用は不可能と思っていました。しかし、電圧を下げても冷却されることは、確認していました。
室温16度で、乾電池5個(7.5V)の冷却でどうなるかです。単1の電池ボックスのうち2個を短絡して、1個をダミー電池をスペーサーに入れて7.5Vの電池ボックスを作成しました。これは、6Dのバックアップにもなります。D810Aでは、やはりダメでした。なぜなんだろうと思います。

これを冷却すると思いのほかよく冷えてくれます。冷却ファンは極めて静かに回っています。
最終的には、室温から17度くらい低い-1.6Vまで冷えました。
計算上ですが、単1の電池は1個で10-11W程度で、5個だと計算上は、5時間くらいは冷やせるかと思います。3夜をフルに冷やすとなると、30個くらい単1電池がいることになります。現地で調達できれば、使ってみようかと思っています。

2017.3.28追記
下のコメントのやりとりの様に、5VでもSEO Cooled 6Dは冷却可能との情報をいただきました。
ありがたいことにモバイルバッテリーからのUSBケーブルからの5Vの給電でも、冷却可能でした。計算通りの約1Aの電流で、当初の30Wから5W少々に消費電力を低減できます。また、冷却温度も室温より15度以上冷却できて、十分な温度となりました。
モバイルバッテリーで一晩は十分な冷却ができそうなので、これを持って南天に行くことにしました。

遠征準備中2017年03月26日 23:10

少し暖かくなった日曜、遠征準備中です。
普段の遠征時には、GPDを良く使っています。しかし、重量があるので、南天にはGP2をもって行くことにしました。三脚もHALではなく、軽量のAL90としました。GP2にはMT-1とDD3を装着していたのですが、自動導入できるよう、GPDに装着していたK-ASTECさんのBLDのAGS-1sを移植しました。モーターの動作を確認しました。

南緯17度ということで、調整すると、20度くらいで高度調整板に当たってしまいます。これは行くまでに対策を要します。思わぬところで、ひっかかります。安上がりのために削るか、どこかに頼むかです。

電圧を下げることで、そこそこ冷えて電力消費を少なくできるめどが立ったきたので、Cooled 6Dを持っていくつもりになってきました。最近の高性能レンズは広角でも長くて重いので、バランスが不良となります。ましてやCooled 6Dは重いです。カメラ本体部の保持ではバランスが取れません。こんなふうにしています。

アルカスイス規格のスライドプレートとL型プレートを組み合わせて使います。使っているのは、amazonで買った安いプレートですが、特に支障なく使えます。

はずした状態はこんな感じです。